「お前の奥さんに恋人のフリをして欲しいんだ…。」

「私、恋人のフリなんて嫌よ…」親友の貴史から母親を騙す嘘に加担するよう頼まれた僕たち夫婦。生活苦で貴史に何度かお金を借りていた負い目があり、妻の反対を押し切る形で了承してしまった。そして当日、妻はいつものセール服ではなく貴史に貰ったという高級ブランドのワンピースを着ていた。顔合わせの為とはいえ、男としての格の違いを見せつけられた気がした。数時間後、予定の時間より遅く帰ってきた妻の薬指には何故か結婚指輪がついていなくて…。

「顔合わせだけだし、協力する。アナタの為にもなるから…」頭の上がらない友人・優太が見合いを迫る母を誤魔化したいから妻の夏生を貸してくれと言ってきた。仕事で世話になっている負い目もあり、強くは否定出来ず夏生は優太の実家へ同行する事になる。その日のうちに帰ってくるだろうと思っていたが妻から優太の母の強い希望で連休中の3、4日間は家に居るようにと連絡があった。更に寝泊まりも同じ部屋になったようで…。

「潜入捜査みたい…やっても良いよ？亮さんの彼女役。」親友・亮から結婚を迫る母を諦めさせたいと頼まれた僕たち夫婦。僕は断るつもりだったが、日頃の恩があるでしょ？と妻は協力的で嫌々ながらその頼みを了承した。そして数日後、ホテルで会食をしてすぐに帰ってくると思ったのだが亮の母が気を利かせてホテルの部屋まで用意してくれたらしい。そして終電までに帰るという連絡を最後に妻から返信が来なくなり…。

「いつも助けて貰ってるでしょ？私、彼女役やっても良いよ。」親友の和也から結婚を迫る母を騙したいと頼られた僕たち。専業主婦で刺激のない日々を送る妻は計画に乗り気で僕は了承せざるを得なかった。それから数日後、妻が和也の母と初めて会う日、会食程度で帰ってくると思ったが和也の母がホテルまで用意して帰れない雰囲気らしい。そして終電を過ぎた頃、抜け出してタクシーで帰るという連絡を最後に妻の返信が途切れて…。